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    志ん朝師匠の真田小僧(前半)を文章化したものです。
    自分で演じるときはこれから色々と変えていきます。

    おとっつあん。おとっつあん。
    なんだよ。
    へっ、あのー、肩叩いてやろうか?
    いいよ。
    だって、あのー、お疲れでしょ?
    いいんだ。疲れてないんだ。なっ、肩凝ってねえからいいんだ。
    んん、んなこと言わないで。じゃあ腰さすってやろうか?
    いいよ。
    お茶入れようか?
    うるせえなてめえは。えぇ? おとっつあん、たまの休みだ。なぁ、のんびりしてんだよ。この辺でうろちょろうろちょろするんじゃねえよ。うるせえから。表行って遊んできな。
    んなー折角さあたいがさ親孝行しようと思っているとさ、そうやって避けるんだからねぇ。んんーこっちが歩み寄っててんのに。ねえおとっつあん。親孝行させて
    いいよ。普段からやるならやれ。なっ、普段こっちの言うことを何も聞かねえでもって、え? なんか急にそういうこと始めるんだ。なっ、必ず下心あるにちげえねえや。わかってるよ。早く表遊びに行きな。
    いいよ、遊びに行くよ。遊びに行くからさ、おくれよ。
    えっ?
    おくれよ。
    なにを?
    なにをって、んなー分かってるくせに。へへっ、子供が親にくれってそう言ってんだから。まさか首じゃぁねえよ。
    あたりまえだよ。恐ろしいこと言いやがるこんちくしょうは。えっ、首取られてたまるか。なんだい、言ってみなよ。
    へへっ、おあしおくれ。
    なにを?
    おあしおくれよ。
    男の子らしくはっきり言いな。なんだ?
    分かってるくせにああやって本当に。おあしおくれえぇえよ。
    節つけやがってこんちくしょうは。おあしはさっきおめえにやったろ?
    もう使っちゃったんだよ。
    使っちゃったんじゃだめだよ。なっ、もうやらねえ。
    そんなこと言わずにいいじゃねえか、ねえ、表行くからさぁ。一文無しなんだもんあたい。表出たって心細いんだよ。
    生意気なこと言うんじゃねえよ。えっ、大人じゃあるめえしおめえ子供なんてえのはな、もともと一文無しなもんなんだよ。なっ、おめえ銭なくたって表行って遊べるだろ幾らでも。えっ、何言ってやんなえ。
    そりゃ遊べないことはないけどさ、ここであたいが表へつーっと行くだろ? みんな菓子屋の前にたかってんだよ? あたいもそこ行くじゃねえか。そうするとみんながお菓子買って食べてんの。それこっちは食べたいなと思ってもおあしないから買えないだろ? 人が食べてんのうまそうだなぁなんてんでね、見てるのはとても辛いもんだよおとっつあん。我が子にそんなひもじい思いさせてよく親として平気でいられるね。
    なに言いやんだこんちくしょう。おめえにはちゃんと銭やってるじゃねえかよおとっつあん。毎日毎日きちんきちんと小遣いやってるんだ。生意気なこと言うんじゃねえやい。
    だってそれ使っちゃったんだ。
    使っちゃったのはお前が悪いんだから。もう今日はやらねえよ。
    あっそう? じゃあ明日の分おくれよ。
    小遣いの前借しやがる。明日になったらどうすんだこまんだろてめえは。
    明日になったら明後日の分貰っちゃうんだ。明後日になったら明々後日の分貰う。明々後日になったらヤノ明後日の分貰う。順に順に先貰ってっちゃう。そのうちにおとっつあんぼんやりしてるからわかんなくなっちゃう。
    こういう野郎だ。親を馬鹿にしてやがる。えぇ? だめだよ。やらねえ。だめだ。
    あっ、そう? どうしてもくれないの? いいよ。いいよ! 貰わないよ。本当に。おとっつあんに貰わなきゃいいんだい。おっかさんに貰うからいいよ。
    馬鹿野郎何を言ってやんだい。おっかぁはくれやしないよ。なぁ、おっかあが持ってる金ってえのはな、おとっつあんが表行って稼いできて、えぇ? 預かってるよっていう預けてあるおあしだ。えぇ? おとっつあんがあいつにやっちゃいけねえぞって言やな、おっかさんくれやしないんだい。
    にっへっへっ、そんなこと言ってやがる。だから甘いんだよへっへっ。くれるんだよおっかぁ。ねっ、おっかさん帰ってくるだろ? そうするとあたいが行ってね、おっかさんおあしおくれよぉ! って言うとね、
    ダメですよ。おとっつあんがやっちゃいけないって言ったから、やりませんよ。
    って言うだろ? そうするとあたいが。じゃあいいよ。この間おとっつあんの留守に他所のオジサン訪ねてきたことそう言っちゃうからって言うと、
    ちょいとお待ちよちょいとお待ちよ。分かった今やるよって必ずくれるんだよ。2、3度使っちゃったんだその手で。親ゆすんの嫌だけどな。背に腹は代えられねえ。
    ちょっと待て。ちょっと待ちない。
    いやぁ、いいよ。あたい遊びに行くから!
    いぃ、いぃからこっちに来い。こっちに来いってんだよ。えぇ? そこに座れ。おとっつあんの留守にだれかおっかさんのとこに訪ねてきたのか?
    んなぁ、なぁ、なんでもないなんでもないよ。気にしちゃいけないんだおとっつあん。聞かなかったことにしておくれよぉ。あぁ、まずいこと言っちゃったなぁ。
    なんだ? えぇ? だからおとっつあん聞いてんじゃねえか。なんか誰か訪ねて来たのか? えぇ? おとっつあんの御用のある人だといけねえから聞いてんだ。
    おとっ、おとっつあんには御用はない。おとっつあんには用はない。弱っちゃったなぁ。まずいこと言っちゃったなぁ。はぁー。やっぱ表に遊びに
    おい、待ちなてんだよ。えぇ? 誰か訪ねて来たのか? 言ってみな。
    じゃあ言うけどさ。訪ねて来たことは訪ねて来たんだ。
    ほぅ、だれが。
    いや、誰がって。おとっつあん、この噺聞きたいかい?
    そりゃまぁ聞きたいよ。
    じゃぁ、おあしおくれよ。
    おあしはダメだよ。
    じゃぁ、あたいだって噺しないよ? ねっ、うん、これを噺すのは子供としてとっても辛いんだから。辛いことを喋るんだから。おあしくれなきゃダメだよ。
    何を言ってやんだい。じゃあいいよ。
    なら良かったやい。そりゃその方がいいんだ。ねっ、平和な家庭に波風立てるのは嫌だから。
    妙なこと言ってやる本当に。えぇ? わかったよ。今やるからちょっと待て。んん? ったく本当に。おう。やるから。話しをしてみな。
    へい。あっはっはっ、あー、なにこれおとっつあん。1銭じゃねえかこれ。1銭、1銭じゃダメなんだよこの噺。1銭はこれお引き取り願って。1銭じゃダメだ。
    子供なんだ1銭持ってりゃ沢山だ。
    そりゃこれは1銭じゃとてもじゃねえけど、こりゃ聞かせられねんだよ。これ値打ちのある噺なんだから。うん、5銭おくれよ。
    5、5銭? 冗談言っちゃいけねえや本当に。だれがやるかい5銭なんざ。
    あっそう? じゃあいいよ。話さないよ。
    じゃあ分かった。5銭やるよ。噺をしちゃってご覧。そうしたら5銭すっとおめえにやるから。まず噺をしろい。
    それダメそれダメ。それダメなんだよおとっつあん。その手は食わないんだよ。ねっ、噺をしちゃうだろ? そうすると、おあしをおくれって言うとダメだ。こう言われちゃったら今のお話し返してくれってわけにはいかないんだから。ねっ、寄席だって何だってそうでしょ? ねっ、言ったことあるでしょ? あれおあし聞く前に払うの? お話し聞いちゃってから払うの? 
    ありゃ木戸銭ってえから噺聞く前に先に木戸の前で払うんだ。
    そうでしょ? ねぇ。そういうもんだよ。聞いちゃってからおあしよこせっつったって。誰があんなもんにおあし払うか。ねっ、だから先に取っちゃうんだああいうものは。それと同じで先に払ってくれよ。そしたらちゃんとお話しするから。
    妙なこと言ってやがる本当に
    あいよっ。その1銭もやるから。早く噺してみろ。早く噺してみな。
    へへっ、どうもありがとう。あのね、この間さ、横浜にお仕事行ったときあったでしょ?
    横浜? あぁ、あった。
    あんときにね、おとっつあんが出かけると直ぐにね、おっかぁのとこにね、「こんちわー」なんてね、男の声が表にすんだい。それからね、あたいがすっと出て行ったらね、「あの、お母さんはいらっしゃいますか?」なんてんだ。それから、いますよって言ったら、「呼んできてもらえますかな」なんて言うからね、おっかっさんどっかのオジサン来たよって言ったら、「あっそうかい」てんで。すっと出てきてその人の顔見て嬉しそうなんだ。
    ふーん、どんな野郎だ。
    おとっつあん。どんな野郎だってね、あんな奴がいるんだ世の中に。キザたったらありゃしねえんだ白い服なんざ着てんだよ。ねっ、やっぱりね、後ろ暗いところがあるのかね、色のついた眼鏡なんざ付けてね? 本当にまぁ気取りやがってステッキなんざこうやってやんだよ。おっかさんがそれを見てね、大変なんだから。
    まぁー、よく来てくれたじゃないかね。ちょうど良かった家のへちま野郎がいなくてって。
    おとっつあんのことへちま野郎だってさ。おとっつあんへちまには似てないやな。
    あたりめえだよ。
    どちらかっていやカボチャだもんな!
    うるせえなこんちくしょう。いいから続きを聞かせろ続きを。
    でね、それでね、おっかさんね、そのオジサンの手をぎゅっと握ったりなんかして、
    さぁこっち入ってよ。早く。
    なんてんでね、引っ張ってやがんだよ!
    おっかあが? うん、で、どうなったい。
    で、こっから先聞きたい?
    そりゃ聞きてえよ。早く話ししろよ。
    じゃあ、あともう5銭おくれよ。
    さっき払ったじゃねえか。
    さっきのはここまでなんだよ。こっから先はまたおあしがいるんだよ。
    そんなこと言わねえでつーっと。喋っちゃったら。
    そりゃいかねんだよ。ねっ、出しておくれよ。
    そうはいかないよこっちだって。
    あっ、そう? じゃあここでやめとこ。ねっ、うん。ここんとこでやめときゃおとっつあんだってまぁまぁ我慢が出来るんだ。こっから先はなぁ。
    分かったよ。分かった。ほら、やるから。
    じゃ、ありがとありがと。それでね、おっかさんがね、あたいが傍にいたらね、
    何してんだよお前は。えぇ? こんなとこにいるんじゃないよ。早く遊び行っといでってこう言うからね。
    嫌だい! って言ったら、
    そんなこと言わないで行っておくれ。後生だから行きなっつうんでね、普段1銭くれるのに大変な騒ぎしてんのにね、そんときに限って5銭くれたんだよ。えぇ? それからあたいね、それ持って嬉しかったんでバーッと表へ遊び行っちゃった。
    馬鹿野郎、馬鹿野郎! なんだいそりゃえぇ? おまえね、そういうときは何故おっかさんの傍にピタッと付いてねんだ馬鹿。
    へっへっへっへへ。大丈夫だよ。心配してんだよ。あたいはおとっつあんの味方だよ。ねっ、えぇ? つーっと表へ遊び行ったんだけどさ、もう気になって気になってしょうがないからね、それからそーっと家に戻ってきたんだおとっつあん。
    うん、えれえな。どうしたい。
    でね、出かけたときにね、開いてた障子がね、かえって来たらピターッと閉まってんだよ。
    障子が? 障子が? うん
    それからあたいがソーッと傍に寄ってってね、この障子をね、スッとおとっつあん、これ開けたい?
    開けたいよ! ちょっと開けてみな。
    へっ、これ開けるのにまた5銭かかるんだ。
    おい、そんなちぎらねえでよぉ。スッと話したらどうだ。
    いやどうしてもここは要るんだ。こっからがおとっつあん大変なんだから。こりゃあもう5銭じゃ安いぐらいだよ。
    本当にもうしょうがねえなぁ。えぇ? うん、ほらほら、早く話してみな。
    どうもありがとう。でね、でね、あたいがね、ソーッ開けたんだよ障子をさ。ねっ、ソーッ開けてねスッと見たらね、おとっつあんの前だけどね。
    おう。
    あのね、布団が引いてあんだよ。
    布団が? 座布団か?
    寝具。 寝るお布団が引いてあんだよ。ねっ、そしたらね、おっかさんが
    それじゃぁ・・・なんつってね、そのオジサンの手を取ってね、自分から誘い込むようにしてね、お布団のとこにたぁーっと倒れこんだんだよ。
    ふんふん!
    ねっ、そしたらそのオジサンがね、上から覆いかぶさるように行ったんだ。
    うん!
    で、ここで5銭くれる?
    この野郎。(直ぐに渡して)どうした!!
    でね、そのオジサンがね、そ、そこら中ね、やだなぁ。やだ。だけど話すよ? ねっ、おっかさんの身体。触んだよ。えっ? そしたらおっかさんが。そこそこなんて言うんだよ? うんっなんて声出したりして。もう嫌だったなぁ! うん、それでね、スッとそのオジサンの顔見たらね、そのオジサンのことあたい知ってんだよ!
    おめえの知ってる? 誰だ!!
    誰だつったって。おとっつあんも知ってるよ!
    俺も知ってる? 誰だ言ってみろ!
    あの、これ、10銭おくれよ。
    10、おまえ高いよそりゃ。10銭は高いよ。
    高くない。高くないよ。おとっつあん。たかが10銭じゃねえか。10銭だよお出しよ。教えてやるからさ。ねっ、知りたくなかったらいいんだよ。ねっ、誰だか分からない方がごたごたが起きないからその方がいいんだ。ねっ、人情沙汰になるといけないから。
    待ってろ待ってろ。分かった分かった。えっ、よっとほらほら
    ありがとありがと。
    で、誰だ。言え。言ってみろ。
    あのね、横町の按摩さんがおっかさんの肩揉みに来てたの! どうもありがとう!!
    待てぇーこんちくしょう! 本当に悪い野郎だなあんちくしょうは。ああいうことをしやがんだから本当に。
    どうしたんだい? 
    こっち上がんなよ。おめえが早く帰って来ないからよ、おあしとられちゃったい。
    あらやだ泥棒にかい?
    そうじゃねえよ金坊にだよ。騙し取られちまったんだよ。
    あの子は口が上手いからねぇ。なんてって騙し取られちゃったの?
    なんてってって、この噺聞きたいかい? だったらおめえも10銭出しな。
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    ありがたい事に落語を披露する機会が増えている。
    お陰様でこの半年で7席披露することができた。
    今月も2席披露する機会があって、来月も2席。再来月は1席決まっている。

    落語というのは、同じ場所では同じ演目をかけちゃいけない。聞いてる方も飽きちゃうからね。
    本当にありがたいことに同じ場所で既に6演目も披露させてもらったの。

    ネタが尽きたわ!!!!!!!!!!

    いやね、30分ぐらいの噺をしてもいいのなら、あと2演目ぐらいはあるのよ? でも、それは難しいから封印しているの。
    次から次へと披露する機会があるので、次から次へと新しい演目を覚えていく。

    もう毎日毎日、ひたすらに稽古詰めです。

    今月の15日には出演者が私だけで2席披露することとなっているので、こら頑張らないけんという状況になっております。
    独演会ですよ! 独演会!!

    そんで5月1日にはまた1ネタ覚えて卸すというね。
    今のとこ真田小僧やろうかなと思ってます。

    とあるライブで見た自分の落語のダメ出しをここにメモ代わりに書いておく。
    中盤からはテンポが少しだけマシになったが、前半が拙いことこの上ない。
    間が悪い箇所が多々ある。もっと溜めていい。
    与太郎ができていない。
    こんなに演者が酷い落語でも、台詞を全部頭に覚えているにも関わらず自分で笑えるところがあるってのは凄い。
    初めて人前で演じるネタなので、これからもっと練っていきたい。